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センサー技術Q&A

熱電対

Q 熱電対の計測誤差について

A熱電対は種類ごとに特性があります。
使用温度や使用雰囲気に合わせた熱電対種類を選択することで、計測誤差を軽減することができます。

還元性雰囲気における
選択酸化

K熱電対を800~1000℃間の還元性雰囲気下で使用していると、短時間で数100℃に相当する熱起電力の低下が起こる場合があり、このような現象を「グリーンロット」あるいはNi-Cr合金の「脱クローム現象」もしくは「選択酸化」と呼ばれます。
これはK熱電対+側を構成するクロメル線の表面皮膜が還元性雰囲気の影響によって一旦還元され、金属光沢を有する合金表面が露出し、その後、微量のO2と反応しNiCr2O4が生成しこれが急激に内部で成長するために起こります。
特にH2ガスは高温において一部の金属保護管を透過することが知られており、これを回避するためには水素透過の少ないシース材を使用することが望ましいと言われています。

白金系熱電対の
金属蒸気による影響

白金系熱電対(B、R、S)はその他の熱電対に比べ融点が高く酸化されにくく化学的に非常に安定しているため、高温用の熱電対として使用されます。
しかし、白金は高温で活性化し、他の金属と容易に反応する性質を持っています。そのため、金属から発生する金属蒸気や金属そのものと接触していると、熱起電力に影響を及ぼし、断線に至る場合もあります。
通常、白金系熱電対に使用する保護管は非金属(再結晶アルミナ等)のものを使用し、どうしても金属保護管を使用する場合は、金属保護管と素線の間に非金属保護管を設け、白金素線が直接金属にさらされないような構造にする必要があります。

シース中間温度による
影響

シース熱電対を高温場所に長い距離這わせた際に、測定対象温度よりも高温の場所に途中のシースが接触していると、測定対象温度よりも高めの値を示すことがあり、これをシャントエラーと呼びます。
これは800℃以上の高温になるとシース内部の無機充填物(酸化マグネシウム等)の絶縁抵抗が低下するという材料の物理的特性によるもので、その高温にさらされた部分の内部では絶縁抵抗の低下により、その部分に温接点が出来てしまっている状態となります。よって測定対象温度よりも高めに指示が出ることになり、途中の温度が下がると正常に戻ります。シャントエラーを回避するためには、中間シースを高温箇所にさらさないような設置を心掛けるとともに、素線間の絶縁距離を大きくするためにできる限り外径の太いシースを選択することも有効です。

K熱電対の不可避誤差

K熱電対を300~550℃の温度で使用していると、比較的短時間で熱起電力の特性が変化し、誤差が生じる場合があり、650℃以上に加熱すると元の特性に戻ります。
原因はクロメル合金の金属組織は300~550℃の温度で変化を起こし熱起電力が増加するためです。これはK熱電対特有の欠点でショートレンジオーダリングと呼ばれています。この現象は、あらかじめ使用温度よりもやや高めの温度で熱処理を行うことで、熱起電力の増加を防ぐことが出来ます。

外部からの電気的影響

熱電対は様々な温度計測に用いられるため、発電機やモーター等の近くに設置されることも多く、それらから発生するノイズが補償導線に乗り、測定誤差を引き起こす場合があります。
ノイズの影響を最小限に抑えるためにシールド付き補償導線を使用することがありますが、シールドの接地方法は検討の必要があります。
一般的には1点接地が推奨され、接地を施さなかったり、2点接地すると、遮蔽(しゃへい)効果が減少したり、かえって誘導電流を拾う可能性があります。

  • 図2熱電対と基準接点
  • 図2熱電対と基準接点

図2 熱電対と基準接点

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