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センサー技術Q&A

保護管・アクセサリ

Q 保護管の最大許容圧力と強度計算について

A圧力がかかる環境で使用するセンサーの選定には、保護管の耐圧を考える必要があります。
保護管の耐圧については、下記の計算方法で求めることが可能です。

計算手法

下記は米国機械学会 ASME(The American Society of Mechanical Engineers)に記載の許容圧力計算手法です。使用圧力Pが計算結果の最大許容圧力PM以下であれば使用可能との判定となります。

パラメータ説明

  1. PM :最大許容圧力(MPa)
  2. D2 :保護管外径(mm) ※テーパー管の場合は先端の外径とする
  3. d :保護管内径(mm)
  4. σ:保護管材料の使用最高温度における許容引張応力(N/mm2) ※下表のとおり

保護管材料の使用最高温度における許容引張応力

  1. α:肉厚と外径による係数 ※下表の通り

肉厚と外径による係数

計算式

計算式

保護管の強度計算

保護管の強度計算に関しては、数種類の計算様式が各学会から発表されていますが、現在はセンサーメーカー各社共「日本機械学会基準 配管内円柱状構造物の流力振動評価指針 JSME S 012-1998」に基づき計算を行っている事が多く、弊社も同基準を採用しています。下記記載内容は同基準の抜粋です。

[1]適用範囲および対象

  • ◇保護管の構造はストレートおよびテーパー保護管を対象とし、片端完全固定とする。
  • ◇流れは単相・一様流・直交流とする。また、工学上非圧縮性流体とみなしても差し支えない範囲とし、十分に発達した乱流を対象とする。
    (注)片端完全固定とは保護管の片側がねじ、フランジもしくは溶接により完全に固定され、もう一端は自由になっていることを言う
    (注)一様流とは流路中のいずれの点をとっても同一方向に同一の大きさの速度ベクトルを持つ流れ場のことを言う
    (注)直交流とは保護管の軸と流れの速度ベクトルとが直交する流れ場のことを言う

[2]強度計算内容

保護管の強度計算とは下記の(1)~(3)の評価を行う事を言います。
そして(1)~(3)の全ての評価項目が満足されないとその保護管は使用できません。

(1)同期振動の回避または抑制評価

【算出パラメータ】

◆換算流速Vrの算出
換算流速Vrは保護管の基本固有振動数f0に対して、どの程度の流速かを示すパラメータ。

◆換算減衰率Cnの算定
換算減衰率Cnは保護管の対数減衰率に保護管と流体の密度比の効果を加味して、振動のしにくさを表すパラメータ。

【評価項目(1)】

次の(a)~(c)のいずれかを満足すること。

  • (a)換算流速Vr<1
    揚力・抗力方向ともに同期振動は回避されている。
  • (b)換算減衰率Cn>64
    減衰は十分であり、同期振動は抑制されている。
  • (c)換算流速Vr<3.3かつ換算減衰率Cn>2.5
    揚力方向の同期振動は回避されており、抗力方向の同期振動は 減衰により抑制されている。

(2)流体振動に対する強度評価

【算出パラメータ】

◆曲げ応力σDの算定
曲げ応力σDは片端固定の保護管の根元部が定常抗力によって受ける応力。

◆ランダム振動応力σRの算定
ランダム振動応力σRは片端固定の保護管の根元部が流れの乱れによって受ける曲げ応力。

◆圧縮応力σPの算定
圧縮応力σPは圧力により発生する圧縮応力。

◆合成応力σTの算定
合成応力σTはσD、σR、σPを加算した応力。

【評価項目(2)】

◆応力制限
合成応力σTが保護管許容応力σ(JIS B 8265 付表2.1.1による)以下であること。

◆疲労評価 ランダム振動応力σRに応力集中係数Kを乗じた値が、保護管の材料および使用温度によって定められる許容疲労限界応力σF以下であること。

(3)耐圧強度評価

【算出パラメータ】

◆最大許容圧力PMの算定
最大許容圧力PMは保護管の外径、内径、材質、温度等で決まる最大許容外圧。

【評価項目(3)】

使用圧力が最大許容圧力PM以下であること。

[3]計算に必要な項目

  • ◇流体名(水、蒸気、○○ガス等)
  • ◇流体温度(最高および最低)
  • ◇流体圧力(最高)
  • ◇流体密度(最高温度および最低温度における密度)
  • ◇流体粘度または動粘度
  • ◇流量
  • ◇配管径および材質
  • ◇流速
  • ◇保護管材質
  • ◇保護管全長および挿入長
  • ◇保護管径(根元径、先端径、内径)

[4]評価結果による検討

強度計算の結果、上記評価項目を全て満足できれば問題なくその保護管を使用できますが、いずれか1つでも満足できない場合、保護管形状の再検討が必要となります。
「保護管の挿入長を短くする」ことや「外径を太くする」などの変更は計算上有利に働きますが、その結果、「応答速度の遅れ」や最悪の場合「正確な測定ができない」というような事態にもなりますので、強度計算には最大限の注意が必要となります。
ちなみに本基準での強度計算では、形状、寸法が同じであれば、引き抜き保護管とクリヌキ保護管の違いは反映されません。

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