
工場や事業所で省エネやエネルギー管理を進める上で、「原単位」は重要な指標の一つです。
原単位は、電力や燃料の使用量そのものではなく、生産量や売上高などの成果に対して、どれだけのエネルギーを使用しているかを示すもので、エネルギー効率を評価するための物差しとして活用されます。
本記事では、原単位の基本的な考え方や代表的な種類、原単位の改善によって期待できる効果について解説します。
原単位とは?基本的な意味と考え方
原単位は、工場や事業所における省エネやエネルギー管理の判断基準として用いられる重要な指標です。
まずは原単位の定義や計算方法について紹介します。
原単位の定義
原単位とは、生産量や売上高などの成果に対して、どれだけのエネルギーを使用しているかを示す指標です。
例えば、電力使用量が増えていても、生産量の伸びがそれ以上であれば、原単位は改善していると判断されます。
このように、事業規模や稼働状況の変化を踏まえて評価できることが、原単位の基本的な考え方です。
工場や事業所では、省エネの進捗確認や目標管理のために、この原単位が指標として用いられます。
原単位の基本的な計算方法
原単位は、エネルギー使用量と活動量の関係を数値で示す指標です。
基本となる計算式は、次のとおりです。
| 原単位 = エネルギー使用量 ÷ 活動量 |
エネルギー使用量には、電力量(kWh)や燃料使用量を用います。
活動量には、生産数量、売上高、稼働時間などを設定します。
例えば、1か月の電力使用量が10,000kWhで、生産量が5,000個の場合、電力原単位は「2kWh/個」です。
このように具体的な数値で示すことで、期間ごとの変化や改善状況を把握しやすくなります。
CO₂排出原単位とは?
CO₂排出原単位とは、活動量あたりのCO₂排出量を示す指標です。
エネルギー使用量を排出量に換算し、環境負荷の大きさを評価する目的で用いられます。
算出の考え方は、エネルギー原単位と同じです。
電力や燃料の使用量に排出係数を掛けてCO₂排出量を求め、その数値を活動量で割ります。
| CO₂排出原単位 = CO₂排出量 ÷ 活動量 |
例えば、電力使用によるCO₂排出量が20tで、生産量が10,000個の場合、CO₂排出原単位は「2kg-CO₂/個」です。
この指標を用いることで、省エネの成果だけでなく、脱炭素への取り組み状況も把握しやすくなります。
原単位の代表的な種類
原単位には、管理目的や業種に応じていくつかの種類があります。
工場や事業所でよく用いられる代表的な原単位を紹介します。
生産量あたりのエネルギー原単位
生産量あたりのエネルギー原単位は、製品1個あたり、または一定数量あたりに使用したエネルギー量を示す指標です。
製造業の工場で、最も多く用いられています。
生産数量を分母にすることで、生産効率とエネルギー使用の関係を把握しやすくなります。
生産量が増減しても、エネルギー効率が改善しているかどうかで判断することが可能です。
例えば、同じ設備を使っていても、段取り替えや稼働率の改善によって原単位が下がる場合があります。
この変化から、運用面の改善効果を確認しやすくなります。
| 生産量あたりのエネルギー原単位 = エネルギー使用量 ÷ 生産量 |
売上高あたりのエネルギー原単位
売上高あたりのエネルギー原単位は、一定の売上を生み出すために使用したエネルギー量を示す指標です。
業種や製品が多岐にわたる事業所で活用されます。
売上高を分母にすることで、生産数量が異なる製品を横断的に評価しやすくなります。
事業全体としてのエネルギー効率を把握する際に有効です。
例えば、売上が伸びているにもかかわらず原単位が悪化している場合、付加価値の低い工程やエネルギー負荷の高い業務が増えている可能性が考えられます。
| 売上高あたりのエネルギー原単位 = エネルギー使用量 ÷ 売上高 |
床面積あたりのエネルギー原単位
床面積あたりのエネルギー原単位は、建物の広さに対してどれだけのエネルギーを使用しているかを示す指標です。
工場だけでなく、倉庫や事務所、商業施設などでも用いられます。
床面積を分母にすることで、建物規模が異なる拠点同士を比較しやすくなります。
複数の事業所を管理している場合に、特に有効です。
この原単位を確認すると、空調や照明の使い方による差が見えやすくなります。
同じ面積でも原単位に差がある場合、設備仕様や運用方法に改善余地があると判断できます。
| 床面積あたりのエネルギー原単位 = エネルギー使用量 ÷ 床面積 |
稼働時間あたりのエネルギー原単位
稼働時間あたりのエネルギー原単位は、設備やラインが稼働している時間に対して、どれだけのエネルギーを使用しているかを示す指標です。
設備の運転効率や待機ロスの把握に向いています。
稼働時間を分母にすることで、稼働率の変化を踏まえた評価がしやすくなります。
生産量が安定しない工程でも、エネルギーの使われ方を確認することが可能です。
例えば、稼働時間が短いにもかかわらず原単位が高い場合、立ち上げ時のロスや空運転が多い可能性があります。
このような傾向から、運転方法やスケジュールの見直しにつなげられます。
| 稼働時間あたりのエネルギー原単位 = エネルギー使用量 ÷ 稼働時間 |
原単位がエネルギー管理・省エネで重視される理由

原単位は、省エネの成果やエネルギー管理の状態を正しく評価するために欠かせない指標です。
なぜ原単位が使用量以上に重視されるのか、その理由を解説します。
使用量だけでは省エネの効果を正しく評価できないため
エネルギー使用量の増減だけでは、省エネの成果を正確に判断しにくい場合があります。
生産量や稼働状況が変われば、使用量も自然に増減するためです。
例えば、生産量が増えた結果として電力使用量が増えていても、原単位が改善していれば、エネルギー効率は向上していると評価できます。
このように、活動量を考慮せず使用量のみを見ると、本来評価すべき省エネの成果を見落としてしまうおそれがあります。
生産量や稼働状況の変化を考慮した管理ができるため
工場や事業所では、生産量や稼働時間が常に一定とは限りません。
繁忙期や閑散期、設備の稼働調整によって、エネルギーの使われ方は変化します。
原単位を用いると、こうした変化を前提にした管理が行いやすくなることがメリットです。
生産量が減った場合でも、原単位の悪化から非効率な運転に気付けます。
逆に、生産量が増えても原単位が維持または改善していれば、エネルギー管理が適切に行われていると判断できます。
省エネ施策の効果を客観的に比較できるため
設備更新や運用改善を行っても、使用量だけでは成果が見えにくい場合があります。
原単位を用いると、施策の前後を同じ条件で比較しやすいことが特徴です。
数値として変化を確認できるため、効果の有無を客観的に判断できます。
複数の施策を実施した場合でも、原単位を基準に比較すれば、どの取り組みが効果的だったかを整理しやすくなります。
社内外への説明・報告に使いやすいため
原単位は、エネルギー管理の状況を分かりやすく伝える指標としても役立ちます。
使用量の増減だけでは説明が足りない場合もありますが、原単位を示すことで、生産量や稼働状況を踏まえた評価であることを示すことが可能です。
社内では、経営層や現場担当者への共有に活用しやすくなり、社外では取引先や行政への報告資料としても使われます。
原単位の改善によって期待できる効果

原単位の改善によって期待される具体的な効果を、コスト面や運用面の観点から解説します。
エネルギーコストの削減につながる
原単位が改善すると、同じ成果を得るために必要なエネルギー量が減ります。
結果として、電気代や燃料費といったエネルギーコストの削減につながります。
設備の使い方を見直したり、ムダな稼働を減らしたりすることで、生産量を維持したままエネルギー使用を抑えやすいことがメリットです。
ムダや非効率な工程・設備を特定しやすくなる
原単位を工程別や設備別に算出すると、エネルギーの使われ方の違いが明確になります。
数値にばらつきがある場合、ムダや非効率な工程が含まれている可能性が高いです。
例えば、同じ役割を持つ設備でも原単位に差が出る場合は、老朽化や運転方法の違いといった課題に気付きやすくなります。
問題のある工程や設備を特定できれば、改善の優先順位も立てやすく、効率的に省エネ対策を進めるための判断材料として役立ちます。
生産効率・運用効率の向上につながる
原単位の改善を意識すると、エネルギーの使い方だけでなく、設備や工程の運用全体を見直すきっかけになります。
結果として、生産効率や運用効率の向上につなげることが可能です。
例えば、段取り時間の短縮や稼働スケジュールの見直しにより、同じ稼働時間でもより多くの成果を得られるようになります。
原単位の変化を確認しながら改善を重ねることで、省エネと生産性の両立を図りやすくなります。
まとめ
原単位は、使用量の単純な増減では見えにくいエネルギー効率の改善を評価するための指標です。
生産量や稼働状況を踏まえた評価が可能になり、省エネ施策の効果を客観的に把握できます。
また、原単位の改善はエネルギーコストの削減につながるだけでなく、非効率な設備や工程の特定、生産性向上にも寄与します。
環境負荷の低減や脱炭素への対応にも役立つため、企業の持続可能な運用を進める上で重要な管理手法です。
渡辺電機工業株式会社は、工場やビルにおけるエネルギー監視・管理ソリューションを提供しています。
省エネ活動やカーボンニュートラル対応を進める上で、原単位の管理とそれに適したシステム導入は重要です。
効率的なエネルギー管理を実現するための一助として、渡辺電機工業のソリューションの活用をご検討ください。