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工場の省エネルギー対策は何から始めるべき?取り組みやすい対策と効果を解説

工場の省エネルギー対策は、必ずしも大規模な設備更新から始める必要はありません。
まず重要なのは、自社工場のエネルギー使用状況を把握し、効果が出やすく取り組みやすい対策から着手することです。

電力・燃料価格の上昇や脱炭素対応の要請を背景に、省エネは製造業にとって重要な経営課題になっています。
一方で、「何から手を付ければよいか分からない」「投資対効果が見えにくい」と感じている企業も少なくありません。

本記事では、工場の省エネルギー対策を検討している経営者・工場責任者の方に向けて、まず取り組むべき考え方と、取り組みやすい代表的な対策、その効果を分かりやすく整理します。

工場の省エネルギー対策は何から始めるべきか

工場の省エネルギー対策は、設備更新よりも「現状把握」と「優先順位付け」から始めることが重要です。
エネルギー使用の実態が分からないまま対策を講じても、十分な効果は得られません。
まずは電力や燃料が、どの設備で、いつ、どれだけ使われているのかを整理しましょう。

まずはエネルギー使用状況を把握する

省エネルギー対策の第一歩は、工場全体のエネルギー使用状況を正確に把握することです。
電気やガス、重油などが、どの設備や工程で多く使われているのかを見える形にしましょう。

全体の使用量だけを確認しても、具体的な改善策は見えません。
設備別やライン別、時間帯別に分けて把握することで、無駄やロスが発生している箇所が明確になります。
現状を数値で把握することが、その後の省エネ対策の判断基準になります。

省エネの優先順位を決める

エネルギー使用状況を把握したら、次に取り組むべきは省エネ施策の優先順位付けです。
全ての設備や工程を一度に改善しようとすると、負担が大きくなり、取り組みが停滞しやすくなります。

まずは使用量が多い設備や、改善効果が見込める工程から着手しましょう。
投資額が小さく、短期間で効果が見えやすい対策を選ぶことも重要です。
優先順位を明確にすると、現場の納得感も高まり、継続的な省エネにつながります。

すぐに取り組める運用改善から着手する

省エネルギー対策は、必ずしも設備更新を前提とする必要はありません。
まずは、日常の運用を見直すことから始めましょう。

不要な設備の稼働や、過剰な運転条件が常態化しているケースは少なくありません。
稼働時間の見直しや、設定値の適正化といった運用改善でも、一定の省エネ効果が期待できます。
現場で実行しやすい対策から取り入れることで、省エネへの意識が高まり、次の施策へつなげやすくなります。

省エネを進めるための体制・役割を決める

省エネルギー対策を継続的に進めるには、担当者や役割を明確にすることが欠かせません。
個人任せの取り組みでは、改善が一時的で終わってしまう可能性があります。
経営層と現場の橋渡し役となる責任者を定め、情報共有や意思決定の流れを整理しましょう。

併せて、現場からの気付きや改善提案を吸い上げる仕組みを整えることも重要です。
体制を整えることで、省エネ対策が日常業務として定着しやすくなります。

工場で取り組みやすい省エネルギー対策と効果

現場で取り組みやすい具体的な省エネルギー対策と、その効果を解説します。
紹介する内容は、一般財団法人省エネルギーセンターがまとめた「工場の省エネルギーガイドブック 2025」を参考にしています。

LED照明への更新

工場の省エネルギー対策として、LED照明への更新は取り組みやすく、効果も分かりやすい施策です。
照明は多くの工場で長時間使用されており、見直しによる影響が数字に表れやすいことが特徴です。

 LED照明は、蛍光灯や水銀灯と比べて消費電力を抑えられます。
発光効率が高いため、同じ明るさを確保しながら電力使用量を削減できます。
併せて、寿命が長いことも大きなメリットです。
交換頻度が減ることで、ランプ交換や高所作業といった保守作業の負担軽減にもつながります。

ある工場では、倉庫内の照明として水銀灯を使用していました。
消費電力が大きく、電気使用量の削減が課題となっていたため、LED照明への更新を実施しています。

水銀灯とLED照明の仕様および、省エネ効果は次のとおりです。

項目水銀灯LED照明
消費電力(1灯あたり)260W/415W78W/117W
年間電気使用量113,100kWh33,000kWh
省エネ率71%
年間削減金額約1,922千円

吐出圧力の適正化(コンプレッサ)

工場の省エネルギー対策として、コンプレッサの吐出圧力を見直すことも効果的です。
工場内では、圧縮空気を共通の動力源として使用しているケースが多く見られます。
その際、必要以上に高い圧力で運転していると、無駄な電力消費につながります。

吐出圧力が高くなるほど消費電力量が増加するため、実際に必要な圧力を確認し、吐出圧力を適正な水準まで下げることが重要です。

ある工場では、工場共通の空気圧源としてコンプレッサを設置し、減圧弁で圧力を調整して使用していました。
吐出圧力が高い状態で運転していたため、電力使用量の削減を目的に、吐出圧力の見直しを実施しています。

対策内容と効果は、次のとおりです。

項目改善前改善後
吐出圧力0.7MPa0.6MPa
コンプレッサ構成37kW × 2台変更なし
年間電気使用量296,000kWh272,300kWh
省エネ率8%
年間削減金額約569千円

エア配管などの漏れ防止

工場の省エネルギー対策として、空気配管の漏れ防止は見落とされやすい一方で、効果が出やすい取り組みです。
空気漏れは音や見た目で気付きにくく、長期間放置されやすいことが特徴です。
その結果、電力の無駄遣いが常態化してしまいます。
定期点検によって漏れ箇所を特定し、補修や部品交換を行うことで、設備を更新せずに省エネ効果が期待できます。

ある工場では、圧縮空気設備の点検を実施したところ、複数の空気漏れが確認されました。
そこで、漏れ箇所の補修と部品の締め直しを行い、空気漏れの削減に取り組んでいます。

対策前後の効果は、次のとおりです。

項目改善前改善後
コンプレッサ構成37kW変更なし
年間電気使用量177,600kWh149,200kWh
省エネ率16%
年間削減金額約682千円

空調の設定温度の適正化

工場の省エネルギー対策として、空調・換気設備の運用を見直すことも有効です。
特に、設定温度の適正化は、設備を更新せずに取り組みやすい改善策の一つと言えます。
冷暖房の設定が必要以上に厳しくなっている場合、消費電力量が増えやすくなります。

併せて、室外機ファンや室内機フィルターの清掃も重要です。
汚れが蓄積すると空気の流れが悪くなり、効率が低下します。
定期的な清掃を行うことで、無駄なエネルギー消費を抑えやすくなります。

省エネ対策によって得られるメリット

省エネ対策によって得られるメリットを紹介します。

電力・エネルギーコストの削減

省エネ対策による最も分かりやすいメリットが、電力や燃料などのエネルギーコスト削減です。
照明や空調、コンプレッサといった設備は使用時間が長く、わずかな改善でも年間では大きな差になります。
運用の見直しや設定条件の調整といった小さな対策でも、積み重ねることで確実な削減効果が期待できます。

設備の異常・ロスの早期発見につながる

省エネ対策を進める過程で、設備の稼働状況やエネルギー使用量を継続的に確認するようになります。
その結果、これまで気付きにくかった異常やロスを早期に把握できることがメリットです。

例えば、特定の設備だけ電力使用量が急増している場合、劣化や不具合が発生している可能性があります。
早い段階で兆候を捉えられれば、突発的な故障や生産停止を防ぐことにもつながります。

CO₂排出量の削減

省エネ対策は、電力や燃料の使用量を抑える取り組みであるため、結果としてCO₂排出量の削減にもつながります。
使用エネルギーが減れば、その分だけ温室効果ガスの排出も抑制されます。

近年は、取引先や社会から脱炭素への対応を求められる場面も少なくありません。
省エネに取り組むことで、環境負荷に配慮した工場運営を進めやすくなります。
数値として排出量の変化を示せるようになることも、企業評価や社内説明の面でメリットと言えるでしょう。

省エネ対策に取り組む際の注意点

省エネルギー対策は、正しく進めることで効果を発揮します。
一方で、進め方を誤ると現場の負担が増えたり、十分な成果が得られなかったりするおそれもあります。
工場で省エネに取り組む際に意識しておきたい注意点を見ていきましょう。

社内全体で取り組む

省エネ対策は、担当者や一部の部署だけで完結するものではありません。
工場全体の運用や日常業務に関わるため、経営層と現場が共通認識を持つことが重要です。

現場の理解や協力が得られないまま対策を進めると、運用が形骸化しやすくなります。
なぜ省エネに取り組むのか、どのような効果が期待されるのかを共有しましょう。
目的が明確になることで、日々の行動にも反映されやすくなります。

初期費用と効果のバランスを見極める

省エネ対策を進める際は、初期費用と得られる効果のバランスを意識することが大切です。
全ての対策がすぐに大きな効果を生むとは限りません。

運用改善のように費用をかけずに始められる対策もあれば、設備更新のように一定の投資が必要なケースもあります。
投資額に対して、どの程度の削減効果が見込めるのかを整理しましょう。

継続的な省エネ推進を目指す

省エネ対策は、一度実施して終わりではありません。
生産量や稼働状況、設備の状態は時間とともに変化するため、定期的な見直しが欠かせません。

対策後のエネルギー使用量を確認し、効果が出ているかを継続的に把握しましょう。
想定した効果が出ていない場合は、運用方法や設定条件を再検討する必要があります。
改善と確認を繰り返すことで、省エネの精度が高まります。

まとめ

工場の省エネルギー対策は、大規模な設備更新から始める必要はありません。
まずはエネルギー使用状況を把握し、効果が出やすく取り組みやすい対策から着手することが重要です。

照明のLED化やコンプレッサの吐出圧力見直などは、比較的導入しやすく、省エネ効果も期待できます。
省エネを継続的に進めるには、現状を正しく把握し、改善効果を確認しながら取り組むことが欠かせません。

工場のエネルギー管理や省エネの進め方に悩んでいる場合は、渡辺電機工業株式会社へご相談ください。
計測機器メーカーとして培ってきた知見をもとに、各工場の状況に応じた省エネ・エネルギー管理の支援を行っています。

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