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ZEB(ゼブ)とは?メリットと実現に向けた取り組みを分かりやすく解説

2026.03.16

建物の省エネ化や脱炭素対応が求められる中、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)への関心が高まっています。
ZEBとは、建物で使用する一次エネルギー消費量を大幅に削減し、年間でのエネルギー収支をゼロに近づけることを目指す考え方です。

ZEBは、光熱費の削減や環境負荷の低減だけでなく、快適性や企業価値の向上にもつながります。
一方で、「ZEBとは具体的に何を指すのか」「どのような取り組みが必要なのか」が分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ZEBの基本的な考え方や、ZEB化によって得られるメリット、実現に向けて企業が取り組むべきポイントを分かりやすく解説します。

目次

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは?

ZEBを正しく理解するためには、定義や求められている背景、ZEHとの違いなどを整理することが重要です。
まずは、ZEBの基本的な考え方について解説します。

ZEBの定義

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した建物です。
省エネによってエネルギー消費量を削減し、再生可能エネルギーを活用して消費分を補うことで実現を目指します。

ここでいう一次エネルギーとは、電気やガスなど建物で使用するエネルギーの元となるエネルギーのことです。
ZEBでは、高断熱化や高効率設備の導入などにより消費量を減らし、太陽光発電などによってエネルギーを創り出すことが基本となります。

なぜZEBが求められているのか

ZEBが注目されている背景には、脱炭素社会の実現に向けた国の目標があります。
政府は2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する方針を掲げており、2030年以降の新築建築物は、ZEBと同じ水準までエネルギー消費を減らすことが目標です。

さらに、2025年度からは原則として新築建築物に省エネ基準への適合が義務化されます。
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、既存建築物を含めた建物全体の省エネ性能向上が不可欠とされています。
建築分野は、日本の最終エネルギー消費量の約3割を占めるとされており、脱炭素を進める上で重要な分野です。
こうした政策的背景のもと、エネルギー消費を大幅に削減できるZEBの普及が推進されています。

ZEBとZEHの違い

ZEBとZEHの違いは、対象となる建物の用途にあります。
ZEBは主にオフィスビルや商業施設、工場などの非住宅建築物を対象としています。
一方、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は戸建住宅や集合住宅などの住宅を対象とした基準です。

ZEBで活用できる補助金

代表的な補助金は、経済産業省や環境省が実施するZEB実証事業や補助金制度です。
これらの制度では、ZEB化に向けた設計費や高効率設備の導入費、再生可能エネルギー設備の設置費などが補助対象となります。
補助率や上限額は年度ごとに異なりますが、一定の省エネ削減率を満たすことが要件となります。

ZEBの種類とそれぞれの特徴

ZEBには、省エネの達成状況や創エネの割合に応じていくつかの区分があります。
すべてが「完全なゼロ」を意味するわけではなく、削減率に応じた段階的な評価制度となっています。

ZEB

ZEBは、一次エネルギー消費量を基準建物と比べて50%以上削減し、さらに再生可能エネルギーの活用によって、年間の一次エネルギー消費量の収支を実質ゼロにした建物です。
省エネと創エネの両方を組み合わせることが前提です。

Nearly ZEB

Nearly ZEBは、一次エネルギー消費量を基準建物と比べて75%以上削減し、さらに再生可能エネルギーを活用することで、年間の一次エネルギー消費量をおおむねゼロに近づけた建物です。
ZEBとの違いは、創エネを含めた最終的なエネルギー収支が完全なゼロには達していないことです。

ZEB Ready

ZEB Readyは、創エネを除いた省エネのみで、一次エネルギー消費量を基準建物と比べて50%以上削減した建物を指します。
再生可能エネルギー設備は導入していませんが、高断熱化や高効率設備の導入などによって、大幅な省エネを達成していることが特徴です。

ZEB Oriented

ZEB Orientedは、大規模建築物を対象とした区分です。延べ面積が1万㎡以上の建物で、用途に応じた一定の省エネ性能を満たしている場合に該当します。

具体的には、基準建物と比べて一次エネルギー消費量を40%以上(事務所等)または30%以上(病院、ホテル、百貨店など)削減していることが目安です。

ZEB化によって得られる6つのメリット

ZEB化は、単なる省エネ対策ではありません。
エネルギー使用量の削減にとどまらず、企業経営や建物の価値にも幅広い効果をもたらします。
ZEB化によって企業が得られるメリットを紹介します。

エネルギー使用量・光熱費が削減できる

ZEB化のもっとも分かりやすいメリットは、エネルギー使用量と光熱費の削減です。
高断熱化や高効率設備の導入によって消費エネルギーを抑えられるため、日常的な電気代やガス代の負担を軽減できます。

また、太陽光発電などの創エネ設備を活用すれば、購入するエネルギー量そのものを減らせます。
エネルギー価格が変動する中でも、コストの安定化につながることが大きなメリットです。
長期的に見れば、初期投資を回収しながら継続的なコスト削減を図れます。

室内環境の最適化により快適性・生産性が向上する

ZEB化では、高断熱化や高効率な空調設備の導入により、室内環境の快適さが増します。
外気の影響を受けにくくなるため、夏や冬でも室温のばらつきが抑えられます。
また、適切な換気や照明計画を行うことで、空気環境や視環境の質も向上し、従業員が快適に働ける空間づくりにつながることがメリットです。

快適な室内環境は、集中力や作業効率の向上にも影響します。
エネルギー削減だけでなく、生産性向上の観点からもZEB化は重要な取り組みといえます。

環境性能の高さが不動産価値の評価につながる

近年は、環境性能を重視するテナントや投資家が増えており、建物選定の基準の一つとなっています。
省エネ性能が高い建物は、将来的なエネルギーコストの見通しが立てやすく、資産価値の維持にもつながります。
また、環境認証の取得によって対外的な評価が高まることも少なくありません。

非常時に備えたエネルギーの自立性が向上する

ZEBでは、太陽光発電や蓄電池などの設備を導入するケースが多く、非常時のエネルギー確保につながります。
停電時でも一定の電力を自立的に供給できる可能性があります。
特に、BCP(事業継続計画)の観点では、最低限の電力を維持できることが重要です。
照明や通信設備、重要機器の稼働を継続できれば、事業への影響を抑えられます。

脱炭素対応が強化できる

ZEB化は、企業の脱炭素対応を具体的に進める手段の一つです。
建物の一次エネルギー消費量を削減することで、温室効果ガス排出量の抑制につながります。

近年は、ESG投資や情報開示の強化により、企業に対して排出量の削減が求められています。
ZEBは、省エネと創エネを組み合わせた取り組みとして、対外的にも分かりやすい施策です。

企業イメージや対外的評価の向上につながる

ZEB化に取り組むことは、環境配慮型企業としての姿勢を明確に示すことと同じです。
脱炭素や省エネへの対応は、取引先や投資家、金融機関からの評価にも影響します。

また、環境意識の高い人材の採用や、企業ブランドの向上という観点でも効果が期待されます。
建物そのものが企業の環境戦略を体現する存在になるためです。

ZEB化を実現するために企業が取り組むこと

ZEB化を実現するためには、単に設備を更新するだけでは不十分です。
建物全体のエネルギーの使い方を見直し、「減らす」「無駄なく使う」「創り出す」という3つの視点から総合的に取り組む必要があります。

PASSIVE(パッシブ技術)|必要なエネルギー量を減らす取り組み

ZEB化の第一歩は、建物そのものの性能を高め、そもそも必要となるエネルギー量を減らすことです。
これがパッシブ技術と呼ばれる考え方です。
断熱性能の向上や日射のコントロール、自然の光や風の活用などにより、空調や照明に頼りすぎない建物を目指します。

高断熱・高気密化する

建物の外皮性能を高めることは、パッシブ技術の基本です。
断熱性が低いと、夏は外からの熱が入り込み、冬は室内の熱が逃げやすくなるため、空調設備の負荷が増え、エネルギー消費量が大きくなります。
高断熱・高気密化を行うことで、空調の稼働時間や出力を抑えられるため、エネルギー使用量の削減につながります。

自然採光を取り入れる

窓の配置や大きさ、吹き抜けの設計などを工夫することで、日中の照明使用を抑えられます。
特に、オフィスや商業施設では照明の消費電力が大きな割合を占めますので、人工照明の点灯時間や出力を減らすことが重要です。
ただし、日射の取り入れすぎは冷房負荷を高める可能性がありますので、遮熱ガラスやブラインドを併用しましょう。

自然換気を活用する

自然換気を取り入れることで、空調設備に頼りすぎない建物運用が可能になります。
外気の温度や風の流れを活用し、機械換気や冷暖房の負荷を抑えることが目的です。

例えば、建物の開口部を対角線上に配置することで、風の通り道を確保できます。
また、外気条件が適している時間帯に自然換気へ切り替えることで、空調エネルギーの削減につながります。

ACTIVE(アクティブ技術)|エネルギーを無駄なく使う取り組み

アクティブ技術は、高効率な設備や制御技術を活用し、使用するエネルギーを最小限に抑える取り組みです。
パッシブ技術で必要エネルギー量を減らした上で、設備の性能や運転方法を最適化します。
アクティブ技術は、既存建物でも取り組みやすい対策が多いことが特徴です。

関連記事:省エネは何をすればいい?メリットや企業が取り組むべき具体策を紹介

高効率な空調設備を導入する

空調設備は、建物のエネルギー消費の中でも大きな割合を占めます。
そのため、高効率な空調機器へ更新することは、ZEB化に向けた重要な取り組みです。

例えば、高効率ヒートポンプやインバーター制御付きの空調機を導入することで、必要な能力に応じた運転が可能になります。
過剰な出力での運転を抑えられるため、エネルギー使用量の削減につながります。

照明設備をLED化する

照明のLED化は、比較的取り組みやすい省エネ対策の一つです。
従来の蛍光灯や水銀灯と比べて消費電力が少なく、同じ明るさでもエネルギー使用量を抑えられます。
LEDは発熱量も少ないため、冷房負荷の低減にもつながります。
空調エネルギーの削減効果も見込めることは大きなメリットです。

設備の運転状況を最適化する

高効率な設備を導入しても、運転方法が適切でなければ十分な効果は得られません。
設備の稼働時間や設定温度、出力の調整などを見直すことが重要です。

例えば、利用状況に応じて空調や照明を自動制御することで、無駄な運転を抑えられます。
また、BEMS(ビルエネルギー管理システム)を活用すれば、エネルギー使用状況を可視化し、運転の最適化につなげやすくなります。

CREATE(創エネ技術)|再生可能エネルギーを活用する取り組み

ZEB化を実現するためには、省エネだけでなく、エネルギーを創り出す取り組みも重要です。
これが創エネ技術の考え方です。

建物で使用するエネルギーを削減した上で、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用し、消費分を補います。
創エネを組み合わせることで、年間の一次エネルギー収支をゼロに近づけます。

創エネ手法を選定する

創エネを導入する際は、建物の立地や用途、屋根面積などを踏まえて最適な手法を選ぶことが重要です。
すべての建物で同じ方法が適しているとは限りません。

例えば、屋根や敷地に十分なスペースがある場合は太陽光発電が有力な選択肢になります。
一方で、設置面積が限られる都市部の建物では、外部電源との組み合わせや他の再生可能エネルギーの活用を検討するケースもあります。

太陽光発電設備を導入する

創エネ手法の中でも、太陽光発電は導入実績が多い代表的な方法です。
屋上や屋根にパネルを設置し、発電した電力を建物内で利用します。自家消費を行うことで、購入電力量を削減できます。
発電量が使用量を上回る場合は、売電や蓄電池との組み合わせも検討しましょう。

OPERATION(運用管理)|ZEB性能を維持するためのエネルギー管理

ZEBは、設計や設備導入だけで完結するものではありません。実際の運用段階でエネルギー使用状況を管理し続けることが、性能維持の前提になります。

エネルギー使用量を可視化する

実際の運用段階で、想定どおりのエネルギー削減が実現できているかを継続的に確認することが重要です。

設備ごとの電力使用量や時間帯別の負荷を把握すれば、どの用途でエネルギーが使われているのかが明確になります。
設計値と実績値を比較することで、性能が十分に発揮されているかを検証できます。
想定と差がある場合は、原因を特定し、早期に対策を講じることが可能です。

データに基づき省エネPDCAを回す

取得したデータは、単に確認するだけでは意味がありません。
分析を行い、改善策を検討・実行し、その効果を検証するというPDCAサイクルを継続することが重要です。
ZEBは「建てて終わり」ではなく、「運用して価値を引き出す」建物です。
そのためには、エネルギーの可視化と継続的な改善体制が欠かせません。

ZEBを実現・維持するためのエネルギー管理の重要性

前段で述べたとおり、ZEBは設計や設備導入だけで完結するものではありません。
エネルギー使用状況を継続的に把握し、運用を最適化することが前提となります。
実際の運用では、設計段階で想定した削減効果と実績に差が生じることもあります。
そのため、BEMSなどを活用してエネルギー使用量を可視化し、データに基づいて改善を続けることが重要です。

また、ZEB関連の補助金制度を活用する場合には、設計段階で算定した削減効果の根拠資料や、運用開始後のエネルギー管理方法を示す資料を提出することが求められることがあります。
そのため、単に設備を導入するだけでは十分とはいえません。
実際のエネルギー使用状況を把握し、継続的に管理・検証できる体制を整えておくことが重要です。

関連記事:エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは?導入までの流れやメリット・事例を解説

まとめ

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)は、建物の一次エネルギー消費量を大幅に削減し、再生可能エネルギーの活用によって年間のエネルギー収支をゼロに近づける取り組みです。
省エネ技術と創エネ技術を組み合わせることで、光熱費削減や環境負荷低減だけでなく、快適性の向上や企業価値の強化にもつながります。

ZEB化を進めるには、省エネ設計だけでなく、設備の最適運用や継続的なエネルギー管理が欠かせません。
高断熱化や高効率設備、再生可能エネルギーの導入に加え、BEMSなどによる可視化・制御が重要です。

渡辺電機工業株式会社では、電力計測機器やIoTゲートウェイ、エネルギー管理システムの提供を通じて、建物の省エネ・ZEB化を支援しています。
エネルギー使用状況の「可視化」から最適運用までを一貫してサポートしますので、ZEB化を検討している方はぜひご相談ください。

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