ホーム chevron_right ナレッジブログ chevron_right EMS chevron_right エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは?導入までの流れやメリット・事例を解説

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは?導入までの流れやメリット・事例を解説

2026.01.21

エネルギー価格の高騰や脱炭素経営の推進を背景に、企業ではどこで・どれだけエネルギーを使っているのかを正確に把握することが求められています。こうした中で注目されているのが、エネルギーマネジメントシステム(EMS)です。エネルギーマネジメントシステムは、電力・ガス・水道などのエネルギー使用量を計測し、データを分析しながら最適に制御するための仕組みです。

本記事では、エネルギーマネジメントシステムの仕組みや導入メリット、導入までのステップ、具体的な活用事例を分かりやすく解説します。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは?

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは、エネルギーの使用状況を把握し、無駄を減らしながら最適な運用につなげる仕組みです。電力・ガス・水道などの使用量を計測し、データとして見える化・分析することで、エネルギー管理を属人的なものから数値にもとづく管理へと変えます。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の仕組み・役割

エネルギーマネジメントシステムは、オフィスビルや工場、マンションなどで省エネを進める上で重要な役割を担います。基本的には、監視サーバーとネットワークを中心に構成され、仕組みとしては以下のとおりです。

  1. エネルギー使用状況の把握
  2. 集めたデータの分析
  3. 分析結果をもとに運用の最適化

まずは、電力計やガス計、各種センサーを通じて、電気やガスなどの使用量を自動で収集します。集めたデータは、監視サーバー上でデータを整理し、時間帯や設備ごとの使用状況を可視化します。

分析結果をもとに、ピーク時の使用量を抑えたり、設備の稼働タイミングを調整したりすることで、エネルギーの無駄を減らすことが可能です。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)が注目される背景

エネルギーマネジメントが重要視される背景には、エネルギー価格の上昇と環境配慮への対応があります。日本はエネルギー自給率が低く、電力や燃料の多くを海外からの輸入に依存しています。

そのため、国際情勢や為替の影響を受けやすく、電気料金の高騰に直面している企業も少なくありません。エネルギー使用量を把握できていない状態では、こうしたコスト上昇への対策が難しくなります。

加えて、省エネ法への対応や、CO₂排出量の把握・削減も企業に求められています。再生可能エネルギーの導入は有効な選択肢の一つですが、初期投資や設置条件の面でハードルが高いと感じることも多いでしょう。

その点、エネルギー使用状況を見える化し、効率的な運用につなげられるエネルギーマネジメントシステムは、比較的導入しやすい取り組みとして注目されています。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の種類

エネルギーマネジメントシステムは管理対象によって役割が異なり、主に5種類に分けられます。

種類主な管理対象特徴・用途
FEMS工場・製造設備生産設備やラインごとのエネルギー使用量を管理し、生産効率と省エネの両立を図る
BEMSオフィスビル・商業施設空調・照明・給排水設備などを管理し、快適性を保ちながら省エネを実現
REMS店舗・チェーン拠点複数店舗のエネルギー使用量を一元管理し、店舗間の比較や改善に活用
CEMS地域・複数施設複数の建物や地域全体のエネルギーをまとめて管理する仕組み
HEMS一般家庭家庭内の電力使用状況を可視化し、日常的な省エネを支援

エネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入するメリット

エネルギーマネジメントシステムを導入することでエネルギーの使い方を可視化し、無駄を減らしながら継続的な改善につなげられます。企業がエネルギーマネジメントシステムを導入することで得られるメリットを紹介します。

エネルギー効率を高められる

エネルギーマネジメントシステムを導入すると、エネルギーの使われ方を細かく把握できます。設備別や時間帯別に使用量を確認できるため、どこに無駄があるのかを明確にすることが可能です。

使用状況を把握することで、不要な稼働や過剰な運転に気づきやすくなります。稼働時間の見直しや運転条件の調整を行うことで、エネルギーの使い方を最適化できます。

エネルギーコストの最適化ができる

エネルギーマネジメントシステムを導入すると、電力やガスの使用量を時間帯別・設備別に確認できるため、コストが増えている要因を特定しやすいです。請求書だけでは分からなかったエネルギーコストの内訳が分かります。

特に、電力のピーク時間帯を把握できることは重要です。ピークを避けた運用や設備の稼働調整を行うことで、基本料金の抑制につながります。契約内容の見直しを検討する判断材料としても活用できるでしょう。

環境配慮の取り組みにつながる

エネルギーマネジメントシステムを導入すると、エネルギー使用量を正確に把握できるようになります。使用量が分かれば、CO₂排出量の算定もしやすくなり、環境負荷を数値で示せることがメリットの一つです。

省エネ対策の効果を見える形で確認できるため、環境配慮の取り組みを継続しやすくなります。取り組みが一時的なものに終わらず、社内での意識向上にもつながります。

また、環境報告や対外的な情報開示にも活用可能です。データにもとづいた説明が行えるため、環境配慮に対する信頼性が高まります。

非効率な機器の特定・改善ができる

エネルギーマネジメントシステムを活用すると、設備ごとのエネルギー使用状況を比較できます。同じ用途の機器でも使用量に差がある場合、非効率な運転や劣化の可能性に気づきやすくなります。問題のある設備の早期発見につながることがメリットの一つです。

使用量の傾向を確認することで、過剰運転や不要な稼働も見つけやすくなります。設定温度や運転時間を見直すだけでも、改善につながるケースは少なくありません。

複数拠点のエネルギーを一元管理できる

エネルギーマネジメントシステムを導入すると、工場やオフィス、店舗など複数拠点のエネルギー使用状況を一元的に管理できます。拠点ごとに管理方法が異なる場合でも、運用ルールを統一することで全体像を把握しやすいです。

拠点間で使用量を比較すれば、エネルギーの使い方の違いや改善余地が明確になります。使用量が多い拠点や非効率な運用にも気づきやすくなり、対策を検討しやすくなります。

また、本部や管理部門から遠隔で状況を確認できることも特長です。現地へ出向く必要が減るため、管理にかかる手間や時間を抑えられます。複数拠点を抱える企業にとって、効率的なエネルギー管理を進める上で有効な仕組みといえるでしょう。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入するまでのステップ

エネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入するまでのステップを紹介します。

現状のエネルギー利用状況を把握する

エネルギーマネジメントシステムを導入する第一歩は、現在のエネルギー使用状況を正しく把握することです。電力やガス、水道が、どの設備で、どの時間帯に使われているのかを整理します。現状を把握できていなければ、改善の方向性を定められません。

この段階では、請求書の数値だけで判断しないことが重要です。設備単位や工程単位での使用実態を確認することで、無駄や偏りが見えてきます。現場の運用状況もあわせて確認しましょう。

現状把握を丁寧に行うことで、エネルギーマネジメントシステム導入後に何を目指すのかが明確になります。目的が整理されるため、必要な計測範囲やシステム構成を検討しやすくなります。

必要な計測ポイントに計測機器を設置する

現状を把握したら、次に行うのが計測ポイントの選定です。すべての設備を一度に計測する必要はありません。改善効果が出やすい設備や、使用量の大きい工程から優先的に検討します。

計測機器は、電力計や流量計、温度センサーなど、管理したいエネルギーの種類に応じて選びます。既存設備に後付けできる機器を活用すれば、工事や停止時間を抑えやすく、現場環境に適した設置方法を選ぶことが重要です。

適切な計測ポイントを設定することで、必要なデータを無駄なく取得できます。ここでの設計が、その後の分析や改善の精度を左右します。エネルギーマネジメントシステム導入の効果を高めるためにも、慎重に進めたい工程です。

計測データをEMSへ収集し、見える化・分析を行う

計測機器を設置したら、取得したデータをエネルギーマネジメントシステムへ集約します。電力やガス、水道などのデータを自動で収集することで、手作業による記録が不要になります。データの抜け漏れや記入ミスを防げることもメリットの一つです。

集めたデータは、グラフや数値として画面上に表示され、時間帯別や設備別に確認できるため、エネルギーの使われ方が直感的に分かります。

また、蓄積したデータをもとに分析を行い、使用量の傾向や変化を把握することで、改善すべきポイントが明確になります。見える化と分析を組み合わせることで、次のアクションにつなげやすいです。

電力使用の最適化を実行する

見える化と分析によって課題が明確になったら、実際の運用改善に取り組みます。ピーク時間帯の使用量を抑えるために、設備の稼働時間を調整したり、運転条件を見直したりして、無理のない範囲で対策を進めることが重要です。

エネルギーマネジメントシステムを活用すれば、対策の影響を数値で確認できます。改善前後のデータを比較することで、どの施策が効果的だったのかを判断しやすく、根拠を持った改善につながります。 また、必要に応じて制御機能と組み合わせることで、最適な運用を維持しやすいです。

効果検証を行い、運用改善のPDCAを回す

電力使用の最適化を実行した後は、その効果を検証することが欠かせません。エネルギーマネジメントシステムに蓄積されたデータを確認し、対策前後でエネルギー使用量やコストがどのように変化したのかを把握します。

効果が十分でない場合は、原因を見直すことが大切です。計測ポイントや運用ルールを再検討し、次の改善策を検討しましょう。

このように、計画・実行・検証・改善のPDCAを回すことで、エネルギー管理の精度が高まります。エネルギーマネジメントシステムは一度導入して終わりではなく、運用を続けながら改善を積み重ねていくための仕組みとして活用することが重要です。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入事例

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入事例を紹介します。

鋳物製造業のEMS導入事例

最初の事例は、450年の歴史を持つ製造業企業が、全社的にエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入し、エネルギー効率と生産性の向上を実現した取り組みです。

【EMS導入の経緯】

  • 省エネ法改正により特定事業者に指定され、エネルギー管理の強化が必要になった
  • 東日本大震災後の電力制約やエネルギーコスト上昇への対応が求められた
  • 設備の老朽化が進み、更新とあわせた生産性向上が課題となっていた

【実施した取り組み】

  • 既存の品質・環境マネジメントシステムとEMSを統合して運用
  • 社内教育や内部監査員の育成を進め、全社でエネルギー管理に取り組む体制を構築
  • エネルギー原単位を指標とし、部署ごとに課題解決プログラムを設定

【活動の成果】

  • 売上高エネルギー原単位を継続的に削減し、2年間で大幅な改善を達成
  • 老朽設備の課題が明確になり、設備更新の判断につながった
  • エネルギー使用状況を可視化し、改善を継続する仕組みが定着した

ビル管理業のEMS導入事例

次の事例は、ビル管理業を担う企業が、本社ビルを対象にエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入し、省エネ管理の高度化と提案力強化を実現した取り組みです。

【EMS導入の経緯】

  • これまで環境マネジメントを重視し、省エネを重要課題として継続的に取り組んできた
  • 管理物件の規模や築年数が多様で、省エネノウハウを体系化する必要があった
  • 中小規模ビルにも省エネ管理を展開するため、ISO50001の導入を決定した

【実施した取り組み】

  • 既存のISO9001・ISO14001と統合し、新たな運用負担を増やさない仕組みを構築
  • BEMSに蓄積されたデータを活用し、エネルギーレビューと改善策を体系化
  • マニュアルや運用基準を分かりやすく整理し、現場で活用しやすい形に工夫

【活動の成果】

  • 電力使用量を大幅に削減する成果を達成
  • 本社ビルの実証結果をもとに、省エネ提案力が強化された
  • 管理物件オーナーへのPRや対外的な評価向上につながった

空調・給排水設備設計・施工業のEMS導入事例

次の事例は、空調・給排水衛生設備の設計・施工を担う企業が、品質・環境とあわせてエネルギーマネジメントシステムを統合運用し、自社の省エネと顧客提案力の強化につなげた取り組みです。

【EMS導入の経緯】

  • 東日本大震災後のエネルギー問題を受け、事業のあり方を見直す必要が生じた
  • 効率的なエネルギー管理を進める枠組みとして、ISO50001が適していると判断した
  • 品質・環境・エネルギーを別々に運用せず、統合したQEEnマネジメントの構築を決定した

【実施した取り組み】

  • ISO9001をベースに、環境・エネルギーを統合したQEEnとしてシームレスな運用を目指した
  • マニュアルは文章量を抑え、フローや表を中心に整理して現場で使いやすくした
  • 空調と車両を対象に、運用ルール化と点検・講習を通じた改善活動を進めた

【活動の成果】

  • 空調の電力使用量を削減し、運用改善の効果が数値で確認できた
  • 車両の燃料使用量も削減し、社内ルール整備の成果が表れた
  • 社員の意識が高まり、改善提案や顧客への省エネ提案力の強化につながった

小売業のEMS導入事例

最後の事例は、小売業を中心とする大規模グループが、BCPとエネルギー削減を目的に、グループ全体を統括する形でエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入した取り組みです。

【EMS導入の経緯】

  • 東日本大震災時の停電により、店舗運営に大きな影響を受けた経験があった
  • BCPの観点から、安定したエネルギー管理体制の必要性を認識した
  • 既存のプロジェクトを、より実効性のある仕組みにするためISO50001を導入した

【実施した取り組み】

  • グループ全体を対象とした統括的なエネルギーマネジメント体制を構築
  • 店舗照明のLED化など、グループ共通の省エネ施策を計画的に推進
  • エネルギー使用量の大部分を占める主要グループ会社を重点的にモニタリング

【活動の成果】

  • 店舗運営に関わるスタッフの省エネ意識が高まり、現場主導の改善が進んだ
  • エネルギー管理をBCPと結びつけた取り組みが社内に定着し始めた
  • グループ全体でエネルギー削減に取り組む基盤が整備された

渡辺電機工業のエネルギーマネジメントシステムが選ばれる理由

渡辺電機工業のエネルギーマネジメントシステムが選ばれる理由を紹介します。

計測・通信・制御まで一貫して対応できる

渡辺電機工業では、「計測する」「集約する」「蓄積する」「見える化」「分析する」「制御する」といったエネルギーマネジメントの各工程を、一貫して支援しています。

計測器単体の導入から、システム全体の構築までをワンストップで対応することが可能です。複数メーカーを組み合わせる必要がなく、構成の検討や調整にかかる負担を抑えられます。

長年の実績にもとづいた豊富な知識と技術力がある

渡辺電機工業は、創業から85年以上にわたり、計測・計装分野を中心に現場と向き合ってきました。そのため、多様な導入実績を通じて蓄積したノウハウをもとに、現場に合った構成や運用方法を提案することが可能です。

機器の特性や使いどころを踏まえた設計が行えるため、過不足のないシステム構築につながります。

導入後の運用改善までサポートできる

渡辺電機工業は、エネルギーマネジメントシステムを導入して終わりにしません。導入後の運用状況を踏まえ、データの見方や活用方法についても支援します。設備の増設や運用変更があった場合にも柔軟に対応し、継続的な改善を前提としたサポートを行います。

まとめ

エネルギーマネジメントシステム(EMS)は、エネルギー使用量を見える化し、運用改善につなげるための仕組みです。コスト対策や環境配慮、安定した事業運営を進める上で、業種を問わず重要性が高まっています。

エネルギーマネジメントシステムの効果を高めるには、導入して終わりにせず、データを活用しながら改善を続けることが欠かせません。そのためには、計測から分析、運用までを一体で考えられる体制が必要です。

渡辺電機工業は、「計測・集約・見える化・分析・制御」までをワンストップで支援し、導入後の運用改善まで見据えた提案を行っています。現場に合ったエネルギーマネジメントを進めたい企業にとって、頼れるパートナーといえるでしょう。

Contactお問い合わせ

製品に関するご質問など、お気軽にお問い合わせください。
弊社スタッフが迅速に対応させていただきます。